進化したアイアンの構造と
求められる機能

近年は様々な構造のアイアンが増え、各メーカーでは数種類のモデルをラインナップしています。以前では考えられなかったことですが、製造技術の進化によって、よりユーザーのニーズに合わせた性能を持つアイアンが登場しています。

多くのゴルファーの皆さんにご愛用頂けている『PROTOCONCEPT』のアイアン、『C05』と『C07』は軟鉄鍛造ボディの内部構造を精密な機械加工で成型し、そこに高強度のクロムモリブデン鋼のフェースを溶接しています。
フェースの反発性能を上げることで、より強いエネルギーが生まれ、それが飛距離や球の高さの向上につながります。『C05』と『C07』では、それぞれに機械加工を駆使した繊細なフェース厚偏肉設計を行うことで、初速性能と打感を両立しています。

この構造にすると、ターゲットゴルファーが求める打感と弾道を実現する重心を作ることが可能になります。その結果、寛容性が高く、ボールも上がりやすいモデルになるのです。これは多くのゴルファーにとって、メリットのある機能のはずです。

このように異素材を採用したり、ヘッド構造を複雑化するのは、基本的にはより性能を上げるために行います。飛距離や寛容性、ボールの上がりやすさのような物理的な性能を出すために、こうした工夫が行われるのです。

それは一言でいうと「補う」性能です。
もう少し飛んでほしいな、もっとミスに強いほうがいいな、といったゴルファーのリクエストに対して、クラブがそれを補ってくれる機能を持っているということです。
一般的なアマチュアゴルファーは、プロのような技術やパワーを持っているわけではないですから、このようなクラブの性能に助けてもらうのは、理にかなっていると言えるでしょう。

一方、『C03TC』のような軟鉄鍛造の一体成型だからこそ出せる性能もあります。
それは一言で言えば、金属のピュアな一体感なのですが、単に打感や打音が良いということにとどまらず、ボールの喰いつき感やソリッドで雑味のない感触が、プレーヤーのイメージを豊かにする効果があります。男子プロの多くが軟鉄鍛造のマッスルバックを手放さない理由もその点が大きいでしょう。

単一素材で作る軟鉄鍛造アイアンは、すでに性能的に限界が来ているという声もありますが、『C03TC』では、より緻密な番手別重心設計を駆使することで、軟鉄一体成型のキャビティアイアンとしての性能をさらに高いレベルまで引き上げることが出来ました。

『C01TB ic』はより特殊な構造です。
軟鉄鍛造製マッスルバックアイアンに、鉄よりもはるかに比重の小さいセラミックを内蔵することで、単一素材のマッスルバックには難しい許容性と重心設定を可能にしています。軟鉄の丸棒とセラミックを一体鍛造で成型する難しい技術を駆使することで生まれた次世代のマッスルバックアイアンです。

マッスルバックを愛用するゴルファーは、技術が高くパワーもあります。彼らが求めるピュアな一体感や感触を失わないように、許容性とボールの上がりやすさを搭載したのが『C01TB ic』です。
もし、飛距離や寛容性を上げることが出来ても、マッスルバックに求められるピュアな一体感が得られなければ、厳しい目を持つプロたちに選ばれることはないでしょう。

製造技術の発展とともに、クラブに搭載される性能はとても多様になっています。それはゴルファーを助ける意味でもとても大事なことですが、一方でクラブに求められるベーシックな機能を失ってはならないと思っています。
『PROTOCONCEPT』で追求しているのは、むしろそんな基本性能なのです。

『PROTOCONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史