セットとしての性能を追求する
コンボアイアン
アイアンセットの究極の役割は、飛ばす距離をある程度均等に刻むことです。飛距離の階段という言葉がありますが、番手を変えることで打てる距離を調節することで、ピンに近づけていくのがゴルフです。つまり、距離が刻めれば、アイアンとしての役割は果たせることになります。
にも関わらず、市場にはおびただしい数のアイアンが世の中に溢れています。これは何故かというと、距離を刻むという基本の性能に加えて、「もっと飛ばしたい」とか「もっと高くあげたい」とか、「打点のブレへの寛容性を高くしたい」というゴルファーのニーズに応えているからです。
そうなると、アイアンに求める性能は多岐にわたります。飛ばしたいけどグリーンに止めたい、ミスに強いほうが良いが抜けの良さも欲しいといった、相反する性能をいかに両立するかという話になります。結果的に、飛ばそうとするあまり、本来の性能である飛距離を均等に刻むという性能がおろそかになってしまうという、本末転倒も起きています。
話を戻すと、アイアンに求める様々な性能を満たす上で、大いに貢献してくれそうなのがコンボアイアンです。コンボアイアンとは、異なったモデルをアイアンセットの中に組み合わせることです。ツアープロの中には、古くからコンボアイアンを使用したプレーヤーがいました。
有名なところでは、97年のマスターズで史上最年少優勝を果たした、タイガー・ウッズが2番から4番アイアンまでを『MP-29』、5番からPWまでを『MP-14』というコンボで使用していました。タイガーは構えたときに見えるオフセットに統一感があるようにするために、別モデルのアイアンを組み合わせたといいます。
多くのPGAツアープロが上の番手だけ別のアイアンを入れています。ジャスティン・トーマスは、マッスルバックのアイアンに4番アイアンだけキャビティを入れています。近年のブルックス・ケプカはアイアンセットを毎年のように変更していますが、数年前から愛用するキャビティバックの3番アイアンは変えていません。プレーヤーが求める性能に応じて、それに合った番手を選ぶということがコンボアイアンの狙いです。
『PROTO-CONCEPT』は、4機種のアイアンに加えて、アイアン型のUT『C01.5』までコンボセットにすることを想定して設計しています。もちろん、セットとして使っても優れているのですが、より高さが欲しいロングアイアンでは一段階やさしいモデルを選ぶなど、セットを組み合わせることが容易なのです。
ヘッドサイズやFP値、ロフト角設定や構えたときの形状など、コンボにしても違和感のないように、緻密な設計思想のもとデザインされています。単なるシリーズというだけではなく、『PROTO-CONCEPT』というブランドのなかで、すべてのゴルファーが最適な組み合わせが選べるのです。
コンボセットは、『PROTO-CONCEPT』の取扱店でのみ対応可能(WEBサイトでは対応不可)なので、経験豊富なクラフトマンに相談して、良い組み合わせを見つけていただきたいと思っています。
『PROTO-CONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史