完成形から、進化を遂げた
『C03TC』の設計コンセプト

『C03』の新しいモデルを開発するにあたり、どう進化していくかは、我々にとって、大きな課題でした。というのも、『C03』アイアン自体が、軟鉄鍛造のハーフキャビティとして、すでに完成されたモデルであると認識していたからです。

軟鉄鍛造の単一素材で作る以上、形状もサイズもヘッド構造も成約があります。絶妙のバランスに仕上がっただけに、『C03』からどの方向に改善していくかは決して簡単ではなかったのです。

ヒントになったのは、アメリカでのプロサポートです。
PGAツアーでもLPGAツアーでも、当時全く無名だった『PROTOCONCEPT』を多くの選手が試し、そして実際に試合で使用してくれました。そのなかで、選手たちから「すでに満足しているが、さらにこうなると良い」というフィードバックを得ることが出来ました。
彼らが求める性能を実現すること。それが『C03TC』開発のテーマになったのです。

その進化の方向性を説明するのは難しいのですが、一言で言えば、弾道の安定感と操作性の両立です。そして、各番手ごとに要求される性能を追求しながら、セットの流れに統一感があることです。

それを実現するため、3D CADを用いて全番手重心設計を行いました。
単に形状を隣の番手と似せて作っても、番手間の良い流れを作ることは出来ません。形状も振り心地も揃うように、それでいてロング番手でもショート番手でも、求められる機能が十全に発揮できるように、3次元での精密な設計を行いました。

プロや上級者のレベルでは、「気に入ってるけど、この番手だけ今ひとつ」みたいな繊細な評価が少なくありません。すべての番手を同じ流れで打てて、弾道も揃うようにセットを作り上げるのは、実は簡単なことではないのです。『C03TC』ではその難しい作業に取り組み、高いレベルで実現することが出来ました。

こうした進化は、ここ数年の弾道計測器の普及とも関連があります。
現代のツアー選手は、クラブパスとフェースアングルを常にチェックし、意図通りの弾道を実現しています。
それを行いやすいように、基本性能はフェースローテーションに安定感があり、スクエアにヒットしやすい特性にすること。その上で、ボールをよりコントロールする場合は、意図通りの曲がりと高さ、そしてスピン量を得られる操作性の高さを両立しています。

ツアープロのフィードバックから生まれた『C03TC』は、ツアープロはもちろんアマチュアゴルファーも使え、結果が出るアイアンに仕上がりました。

軟鉄鍛造の単一素材でも、設計コンセプト次第でまだ進化の余地があるんだということを、改めて感じさせられる経験でした。

『PROTOCONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史