トッププロたちが選ぶ
ウッドとアイアンの狭間

卓越した技術とパワーを持つPGAツアープロたち。その各選手のセッティングは意外なことに、わりと似ているんです。厳しいコースセッティングで戦うために、彼らが求めるクラブの性能があり、概ね大きくは外れないセッティングの基本というものがあるようです。

具体的に見てみると、まずウッドが2本です。ドライバー、そしてスプーン(3W)ですね。ティショットで使うクラブ、そして地面からもっとも飛距離を出すことのできるクラブです。

アイアンは4番からという選手がほとんどです。PWの替わりに48度前後のウェッジを入れるケースもありますが、その下にウェッジが2本、ないし3本入れる選手がいます。そしてパターですね。ウェッジが3本の場合だと、ここまでで13本です。

ここまでの13本は同じセッティングにしている選手がとても多いのです。もちろん、ドライバーを長短2本入れて、2021年の全米プロを制したフィル・ミケルソンのような例外もあります。ウェッジを2本にしてその分、上の番手を増やす選手も存在します。この12〜13本というのは、PGAツアーを攻略する上で、ほぼ欠かせない番手と言えそうです。

そして残り1本は、スプーンと4番アイアンの間を埋めるクラブになります。
例えば、スプーンがロフト角15度で、4番アイアンが24度だとすると、なんと9度ものロフト差があるのですが、それを1本で埋める番手になります。大きな距離差になるこのロフトのギャップをどんなクラブで埋めるかが、現代のツアープロのセッティングでもっとも個性の出るところです。

例えば、松山英樹選手がマスターズを制したとき、20度のアイアン型UTが入っていました。松山選手はこの番手にウッド型のUTを入れることも多く、一時期はUTではなく、キャビティタイプの3番アイアンを入れていたこともあります。コースに応じて、クラブの特性を変えているのかもしれませんね。

2021年の全米オープンに勝利したジョン・ラーム選手は、ここにクリーク(5W)を入れています。80g台のシャフトを装着して苦もなく使えるパワーヒッターのラームですが、UTよりも高さが出しやすいフェアウェイウッドを選択しているのは、面白い傾向です。おそらくスピンの入りやすいクラブで、幅広く縦距離を打ち分けているのでしょう。クリークを入れているのは他にも、ジャスティン・トーマス選手やコリン・モリカワ選手等がいます。

ザンダー・シャウフェレ選手は、ラームよりもさらにボールの上がりやすい7番ウッドを少しロフト角を立てて使っています。ジョーダン・スピース選手は、ボールの上がりやすい21度のウッド型UTを選択しています。彼らはボールが上がりやすい事を重視しているようです。

フェアウェイウッドを入れる選手、アイアン型またはウッド型のUTを入れる選手に加えて、それらを使わずにアイアンを入れている選手もいます。長年、同じ3番アイアンを愛用しているブルックス・ケプカ選手がその代表です。出来るだけアイアンセットと同じ流れでこの距離を打ちたいという意図を感じますね。クラブセッティングということを考えたときに、出来るだけ同じようなクラブで揃えたほうが、流れが良いからです。

『PROTO-CONCEPT』の大きな設計思想のひとつは、ツアープロが重視しているクラブセッティングの流れを、プロと同じように綺麗に揃えつつ、飛距離ややさしさを補うことです。4種類のアイアンをコンボしたり、その上にアイアン型UTの『C01.5』を入れても、違和感なくセットとして振りやすく、やさしさの恩恵も受けやすくなっています。

単体で高機能であったとしても、セッティング全体での使いやすさがなければ、ゴルフというゲームはかえって難しくなるのではないでしょうか。トッププロたちのセッティングは、クラブセッティングの流れがどれだけ大切か、与えられた14本という枠の中で、いかに工夫するかを教えてくれているのです。

『PROTO-CONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史