本当に必要なアイアンの機能とは?
7番アイアンのロフト角が、30度よりも遥かに小さく、ストロングになっている超飛び系のアイアンが市場に登場してから、数年が経ちました。当初は奇異で異端と見られていたこれらのアイアンですが、飛距離を求めるゴルファーに支持されたことで、今やアイアンの主流になろうとしています。
現在は、販売されているアイアンの大多数が、7番で30度未満のストロングロフトのモデルです。かつては高い人気のあった軟鉄鍛造のハーフキャビティなどは、選ぶ人がかなり少なくなっています。
異素材や構造に様々な工夫を凝らし、現代の飛び系アイアンは単にロフトが立っているアイアンではなくなりました。高弾道で曲がりは少なく、そして驚くほど飛距離が出るという高機能なアイアンになっています。人気が出るのもわかります。
しかし、問題がないわけではありません。こと現実のゴルフプレーということを考えたとき、これらの飛び系アイアンがマイナスに働くことも数多くあります。
よく指摘されるのが、ロフト角ピッチです。7番アイアンのロフト角を不自然に立ててしまったがため、その上の番手のロフト角が小さく、番手間のロフト差も少なくなっているのです。その結果、4〜6番といった番手は、ボールが上がりにくくライナー性の弾道になりやすかったり、番手間の飛距離差を10y以上しっかりと出すのが難しいといった問題が発生しています。
一方、ショートアイアンは逆に、番手間の飛距離差が大きくなる傾向にあるようです。結果的に、距離差を十分に出せない上の番手と、20y近く距離差が出る下の番手が生まれてしまうモデルもあるようです。これではゴルフの組み立てを考えたときに、かなり不利に働くことは想像に難くないでしょう。
そして飛距離を求めるあまり、十分なスピン量を得られないモデルもあります。高さは出るのですが、スピン量が以前よりもずっと少なくなっています。スピンではなく、高さで止めるというのは、一見すると正しく見えますし、実際に多くのグリーンで止めることが出来るでしょう。しかし、スピンレスなアイアンショットは、ボールをコントロールするということに関して、かなりマイナス面があります。スピンが入るという事は、ボールをコントロールするということ、そのものだからです。
かといって、現代の飛んでやさしいアイアンから、昔ながらの難しいアイアンを今から使うというのもちょっと抵抗があると思います。だから『PROTO-CONCEPT』では、アマチュアにとってやさしく、しかも操作しやすくて適切な番手間の飛距離差を得られる4種類のアイアンを開発しました。
構えたときにイメージが湧く、バランスの整ったヘッド形状。
球乗り感のある打感・打音の良さ。
適切な高さとスピンを得られる事で生まれる美しい弾道。
『PROTO-CONCEPT』のアイアンは、数多くの最新の製造技術を駆使して、これらの性能を実現しています。どの番手も同じようなイメージで打てて、適切な飛距離差を出せること、ボールをコントロールして、ピンまでの距離感を出せること、というアイアン本来の性能を追求しています。
その結果。最も難しい位置づけであるマッスルバック『C01』でさえ、純チタン内蔵軟鉄鍛造(特許製法)によって、周辺重量配分によるやさしさを持ち、最もやさしいアイアンである『C07』アイアンですら、高いコントロール性と心地よい打感、そしてスッキリとイメージの湧きやすいヘッド形状を備えています。アイアンにとって、最も必要な機能であるコントロール性を4機種どのモデルも、決して失っていません。
ロフト角は、もっとも立っている『C07』で31度(#7)。打っていただくと、ロフト角のわりに飛ぶね、と感じていただけるはずです。ヘッドの機能はもちろん、良いイメージで振り切りやすいので、自然と良い球質で飛距離が出せるようになります。
アイアンは、飛距離やミスヒットの強さ、高さや打感など、実に多くの要素が要求されるクラブです。そのなかで、現在の多くの飛び系アイアンは、飛距離を求めすぎたあまり、アイアンというクラブにとって、本来必要とされている、もっとも大事な機能を見失っている様に見えます。
アイアンにとって、本当に必要なもの、それは弾道のコントロール性であり、そして適切な距離を打ち分けること、すなわち、ピンハイにボールを止めるという性能です。そのことにあらゆる技術を結集したアイアン、それが『PROTO-CONCEPT』です。
『PROTO-CONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史