新発想と技術が生んだ3段偏肉フェース

目に見えて大型化したドライバーと比べると目立たないかもしれませんが、近年のアイアンの進化も目覚ましいものがあります。特に、飛び系と言われるストロングロフトのアイアンのカテゴリーでは、中空構造を採用し、ヘッド内部に樹脂が入ったり、ソールに高比重のウェイトが入ったりと、異素材が積極的に採用されています。

その結果、飛距離だけでなくアイアンでもその弾道は大きく変わっています。これまでの常識では考えられないような、高弾道の低スピン弾道を打てるモデルも増えてきました。こうした機能をうまく活用してプレーしているゴルファーも増えてきていますね。

しかし、これまでのアイアンらしい吹け上がるような弾道がダメなのかというと、決してそんな事はないでしょう。現代においても、多くの男子プロがマッスルバックやハーフキャビティを使っている事でも分かる通り、スコアリングを考える上では、スピン量が多く、コントロールされたアイアンの球質はやはり必要だろうと思います。

よく言われていることですが、やはりアイアンはスコアリングクラブなのです。思った距離を打ち分けられること、そしてグリーンに止められることが何よりも優先されます。そのうえで操作性があったり、飛距離が出たり、打感も良ければ言うことはないですね、試打クラブになっている7番アイアンだけが、突出して飛んでしまうようなアイアンセットでは、やはり良いプレーは出来ないでしょう。

プロトコンセプトは、4機種のアイアン全て、必要以上にロフト角を立てていません。一番立っている『C07』アイアンでも、7番で31度です。しかし、使っていただいた方からは、「ロフトの割に飛距離が出るね」なんて言われます。4機種とも、何よりもグリーンに止められて、高弾道で、スピンがしっかり入ってコントロールできる、そんなアイアンに仕上がっています。

しかし、伝統的な機能を持った古風なアイアンなのかと言うと、それは全く違います。過去の名モデルの良さを受け継ぎながら、あくまでも最先端の技術を取り入れ、その機能をゴルファーが享受できるように、細部までこだわっているのが、プロトコンセプト特徴です。

その代表的な例が、『C07』アイアンに搭載された「3段偏肉フェース」。
『C07』は、フェース素材に、軟鉄よりも靭性の高いSAE8655クロムモリブデン鋼を採用してフェースの肉厚を薄くしたことで、高い反発力を生み出しています。そして、そのフェースは、以下のように3段階に偏肉しているのです。

トップブレード付近 1.8mm
中央左右部 2.3mm
下部中央部 2.7mm

フェース溶接アイアンにありがちな打感や打音の悪さをなくすため、フェース下部は厚みを設けて、トップブレードに向かって、薄く偏肉させているこの構造は、プロゴルファーが打つようなフェースにボールが乗る感覚をヘッドスピードの遅いゴルファーでも体感することが出来ます。

世界でも最高の技術を持つ我々の提携製造工場ですら、このアイディアを提案したときは技術的に難しいかもしれないという回答でした。しかし、いくつもの試作と強度テストを重ねて、最高基準の品質基準を超えることが出来ました。

この技術は『C05』アイアンでも採用しています。より厚みのある打感が求められる『C05』では、フェース全体をやや厚めの2.7mmにしつつ、フェース中央左右部を2.4mmにする逆転の発想で、打感やコントロール性を高めながら、同時に飛距離性能も向上しています。

中上級者の間では、軟鉄鍛造一体成型の、いわゆる「一枚もの」のアイアンが良いと言われています。しかし、フェースに高強度の素材を採用した『C05』と『C07』アイアンなら、軟らかくて球持ちの良い、いかにもボールをコントロールできそうな感触があり、バネ鋼にありがちな弾き感は全くありません。それでいて、飛びと寛容性は一体成型のモデルを遥かに上回り、ゴルファーをサポートする機能を備えています。

プロトコンセプトのアイアンは、アイアンセットとして求められるトータルの性能を追求しているのが最大の特徴です。その機能には、ある種の調和さえ感じていただけるはずです。

『PROTO-CONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史