世界的なスポーツの祭典で、
プロたちが“飛んで曲がらない”
アイアンを使わない理由

世界的なコロナ禍で行われたスポーツの祭典。ゴルフ競技も国内の有力選手が活躍したことで、非常に盛り上がりました。女子では銀メダルを獲得したということで、普段ゴルフに関心のない層にも、その楽しさ、面白さが伝わったのではないかと思います。

出場選手たちのアイアンを見ていると、面白いことに気づきます。それは男女とも鍛鉄鍛造の単一素材アイアンを中心に、小ぶりでシャープなモデルを使用していることです。男子はマッスルバック、女子はハーフキャビティの割合が多いですが、いずれにせよアマチュアに人気のあるポケットキャビティや中空アイアンはあまり見ることができません。

現在、市場で人気となっているアイアンは、圧倒的に飛び系が人気というのが実情です。ロフト角を立てつつ、弾道の高さを確保するために大きな重量のウェイトがソールに搭載され、今までに考えられなかったような低重心化を実現しています。フェースには、高強度の素材を採用し、2mmを切るような薄肉にすることで反発力を向上しています。

さらに、中空構造やポケットキャビティを採用することで、よりヘッド周辺に重量を配分し、ミスヒットに強く直進性の高い性能を実現しています。現代のアイアンはまさに“飛んで曲がらない”を実現していると言えます。

飛距離が出て、曲がらなくて、高弾道で打てる性能を備えているのが現代のアイアンです。最近は、樹脂などをインサートすることで打感も大いに向上していて、さらに進化を続けています。これらの高機能アイアンをトッププロたちが使わないのは、不思議に思われませんか?

世界のトッププロたちがアイアンに求めるのは、想定した距離をしっかりと刻めること。さらに言えば、繊細な縦距離を出せる距離感と球筋をコントロールできる操作性をより重視しています。そのためには、飛距離が出すぎてしまうことや曲げたいのに曲がらないといった性能がマイナスに働くこともあるのです。彼らが求めているのは、小回りの利くスポーツカーのような性能で、安定感のある大型セダンのような性能ではないというわけです。

アマチュアにとっては、“飛んで曲がらない”ことほどありがたいものはありません。ボールが上がりやすいならなおさらです。そこで『PROTO-CONCEPT』は、あくまでもプロや上級者が求める操作性を追求しながら、一般のアマチュアゴルファーにとって恩恵のある寛容性と飛距離性能を併せ持つことを目指しましました。

私達の取り組みのひとつの結果として、現在海外ツアーにおいて、『PROTO-CONCEPT』アイアンを使用するプロが急増しています。彼らはツアーの中ではほぼ無名の我々のアイアンを手に取り、その性能を感じて使用に踏み切っています。嬉しいことに、スイッチした瞬間からずっと好成績を上げている選手もいます。

彼らは、我々が展開する4種類のアイアンの中で、自分の気に入ったものをそれぞれ愛用しているので、その使用モデルはバラバラです。どのモデルがプロ仕様というわけではなく、すべてのモデルがトッププロの要求に耐えうる性能を備えています。

霞ヶ関カンツリー倶楽部で行われた今回のスポーツの祭典では、残念ながら『PROTO-CONCEPT』の使用プロはいませんでしたが。それでも、現在の使用プロたちの活躍を見ると、あるいは次の大会では、と期待させてくれるのです。

『PROTO-CONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史