反発係数と鍛造カップフェース

ゴルフクラブのフェース反発には、2008年にルールで上限が設けられました。フェースがバネのような機能を発揮する「スプリング効果」から、 SLE(Spring Like Effect)ルールと呼ばれています。

現在、反発性能のルールはCT値(接触時間)で計測されます。ルールで決められている上限は239μs(マイクロセカンド)ですが、製造上の交差があるので、18μsの許容誤差が認められています。したがって、実質的な上限は257μsになります。これはご存知のゴルファーも多いでしょう。

数年前は、反発性能がルールを超えないように、各メーカーはマージンを設けてドライバーを製造していました。230μsを超えるものは稀で、多くのヘッドがそれ以下の反発性能でした。それ以上を狙うと、製造誤差によって、どうしてもルールを超えてしまうヘッドが出てきてしまったからです。

その後、製造精度の向上とともに、ルール上限の239μsはおろか、実質的な上限である257μsギリギリを狙うと標榜するメーカーが多くなりました。そのため現代のドライバーは、以前よりも反発性能が高く、高反発エリアが大きくなってきています。

しかし、18μsとは100万分の18秒ということ。そのわずかな接触時間をコントロールするのは、決して簡単なことではありません。多くのメーカーは様々な技術を取り入れて、以前よりもずっとギリギリの反発を狙っていますが、やはりマージンを設けることには変わりはないのです。万が一にも、ルールをオーバーしてリコールなどとなってしまうと、メーカーにとっては壊滅的な損害になるからです。

『PROTO-CONCEPT』のドライバー、『C01D』の鍛造カップフェースは、これらの状況にとって、ひとつの回答となるものです。

特許技術による独自の製法、「加熱圧縮処理鍛造」は、高強度チタンの丸棒から、わずか一回の鍛造で設計値通りの複雑な肉厚を作るという、他では真似の出来ないもの。設計値通りの高いCT値をフェース広範に渡って実現でき、マージンをほぼ計算することなく製品化が可能になりました。そこには、全く別次元でのものづくりのクオリティがあります。

現代のほとんどのドライバーは、フェース部だけくり抜いたようなボディに、圧延で作ったフェース材を裏から溶接して製造しています。100万分の何秒という微細な差を狙うなかで、こうした溶接や研磨という作業の影響が少なからず出てしまうのです。カップフェースを採用するのは、フェース面自体にそれらの作業が極力必要がなく、超高精度の鍛造で生まれたフェースの性能をそのまま活かす事ができ、均一な製品精度を出しやすくなるからです。

この複雑な形状を持つ鍛造カップフェースに、我々は『QUATTRO FORGED FACE』と名付けました。その効果はヒューマンテストでも歴然で、1.50を上回るような非常に高いミート率を連発するほど、広範囲のエリアで初速性能を出すことに成功しました。

現ルール化において、これだけの反発性能と高反発エリアの精度を出せるドライバーは、多くはないでしょう。この性能は多くのアマチュアゴルファーの皆さんにとっても、打ってみて十分実感していただけるはずです。

もっとも、飛距離性能を語る上でフェースの反発性能は、ひとつの要素に過ぎません。ゴルフプレーの様々な状況の中で、トータルの性能を発揮できるのが、『PROTO-CONCEPT』。『C01D』にもそんな機能が備わっています。他社に真似出来ない高度な鍛造技術でさえ、そのうちのひとつでしかないのです。

『PROTO-CONCEPT』 ブランドプロデューサー
川崎康史