proto-cプロトコンセプト

C01D ドライバー 開発ストーリー

“最高のものを生む”という理念

正直に告白すると、『PROTOCONCEPT』をローンチしたとき、私達はドライバーの開発に消極的でした。生き馬の目を抜くような大手メーカーのドライバー開発競争の波の中で、私達のような小さなブランドが対抗出来るとは思えなかったのです。

私達のそんな考えを覆したのが、世界でも類を見ない鍛造技術を持つ、日本の製造会社との出会いでした。チタンの鍛造に優れた知見と技術を持つ、彼らの協力なくして『C01D』ドライバーの開発はありえませんでした。

その製造工場は、これまでゴルフクラブの歴史に残る名品の数々を生み出してきました。評価の高い大手メーカーのヒット作の影に、その企業の存在があることも少なくありません。しかし、驚いたことに、彼らは近年、ウッド類の製造をほとんど行っていなかったのです。このままでは彼らの卓越した技術は、使われることがない可能性すらありました。

幸い、「今考え得る機能、素材、技法など全てを盛り込み、最高のものを作る」という、『PROTOCONCEPT』の考えに共鳴してもらえたことで、彼らの持つ素晴らしい技術と知見を『C01D』ドライバーに盛り込むことが出来ました。

鍛造カップフェースの可能性

一般的なチタンドライバーは、チタンの平板をプレスして作ったフェース内側のパーツを溶接して製造します。この製法ではある程度、肉厚やCT値などにバラツキが生まれるので、研磨作業によって形状を仕上げていきます。

ご存知のように、フェースには反発係数のルール規制があるので、このバラツキによって基準値をオーバーするヘッドが出ないように、ほとんどのメーカーではルール上限よりも低くマージンをとって製造しています。

『C01D』の鍛造カップフェースは、「加熱圧縮処理鍛造」という特許技術によって、チタンの丸棒を鍛造します。一度の鍛造で非常に高い精度で、安定した肉厚や形状に仕上げることが出来るため、設計値通りの高いCT値をフェース広範に渡って実現できます。反発のマージンを計算する必要がなく、設計時から高い反発性能で作って、そのまま製品にする。そこには、全く別次元のものづくりのクオリティがあります。

さらに、これまで採用することのなかった新たな技術を惜しみなく投入し、フェースの広範囲でルール上限近い反発性能を実現しました。これだけでもかなり優位性があるのですが、より強調したいのがその打感です。

チタンの丸棒を加圧圧縮し、肉の流れを管理して作られる『C01D』の鍛造カップフェースには、「鍛流線」と呼ばれる組織の流れが発生します。さらにこの「鍛流線」をフェース中央部に圧縮することで、より緻密な組織になり、強度や耐久性が向上しました。これが、初速の速さを感じさせる強い弾きと同時に、グッと柔らかく喰いつくような最高の打感を生むのです。

最新ドライバーの功罪

ここ数年で、ドライバーの形状は大きく変化しました。投影面積が大きく、扁平でヘッド後方が長いシャローバックヘッドです。これに加えて、カーボンや高比重ウェイトなど異素材を組み合わせることで、大きな慣性モーメント(MOI)を実現しています。

物理的には明らかにやさしく、曲がりにくくなっているはずの最新ドライバーですが、高MOIの代償として、振りにくい、操作しにくいという大型ヘッド特有の問題も生まれてきています。卓越した技量を持ったトッププロが、驚くほどボールを曲げてOBにしているシーンも少なくありません。プロでさえ、大きくなりすぎたドライバーの管理は簡単ではないのです。

最近は、プロ、アマ問わずドライバーイップスを患うゴルファーが少しずつ増えてきています。昔であれば、考えられなかったことです。イップスとまではいかなくとも、巨大なドライバーを苦手にしているゴルファーは多いのではないでしょうか。

振り切って、強い弾道を放つ

曲がりにくく、フェースのどこに当たっても、そこそこ飛んでくれる大型ドライバーは、一見するとありがたいものです。それによって、恩恵を受ける人も少なくないでしょう。しかし、そんなショットに満足していないゴルファーが多いのも事実です。芯を外してしまうと、球質は軽くなり、手応えもよくありません。結果だけ良ければいい、と考えるゴルファーは少数派なのではないでしょうか。

フィニッシュまで振り切ること、芯を喰った分厚いインパクトで、強い弾道でボールを飛ばすこと。ドライバーにとって大事なこの2点が、現代のドライバーでは損なわれつつあると、私達は感じていました。『C01D』は、それを取り戻すために開発したドライバーです。

慣性モーメントは、市場の平均的なヘッドよりもやや大きめですが、独自の重心設計によって、操作がしやすく、フィニッシュまで振り切りやすい。そして、インパクトでグッとボールを押し込める、分厚い手応えを実現してます。

そして、特許技術から生まれた至高の鍛造カップフェースは、エネルギー効率が高いライナー性の強弾道をもたらし、その極上の打感がゴルファーの感性を刺激します。市場のどこにもない、ゴルファーのプレーマインドを刺激するドライバーに仕上がりました。

思い描いた夢を実現すること

『トラックマン』などの弾道計測器が普及したことで、現代のゴルフクラブは試打室で良い結果が出るクラブが求められています。それ自体は、フィッティング意識の高まりにもつながり、悪いことではないのですが、現実のゴルフはそれだけではないのでは、というのが私達の問題意識でした。

ゴルフ場では、風や高低差、ロケーションなどあらゆる環境に加えて、フィジカルコンディションやプレッシャーなど、様々な要因の中で、コントロールしたボールを打っていかなくてはなりません。試打室ではなく、プレッシャーの中で思い切り振り切ったショットが打てること、それがより良いクラブの条件だと思うのです。

イメージしたままの弾道を放ち、コースを巧みに攻略すること。ライナー性の強弾道で風の中を目標に向かっていくこと、ゴルファーそれぞれが思い描くプレースタイル(=夢)を実現することが、『PROTOCONCEPT』が掲げるリアルゴルフです。

記憶に残る悦び

ゴルファーには、忘れられない1打の記憶があるものです。
私の忘れられない1打は、初めて90切りを達成したラウンドでの最終ホールのティショットでした。

その少し前に、最終ホールがボギーなら90切りでベストスコア達成という状況で、私のティショットは大きく左に曲がり、OBに吸い込まれていきました。結果はトリプルボギー。悔しくて、その日は眠れなかったのを覚えています。

そしてその日、不思議なことにまた最終ホールがボギーだったら、90切りでベストスコアという状況だったのです。OBを打ったその記憶が生々しく脳裏に焼きついていて、自然とカラダも固くなっていきました。不安と緊張、ゴルファーなら誰もがこんなジリジリとしたしびれる経験があるものです。

そして、そのティショットは自分でも驚くほど振り切れて、それまでのゴルフ歴の中でも最高のドローボールになりました。私はフィニッシュをとったまま、涙が出そうになりました。そのラウンドで初めて90切りを達成し、ベストスコアを更新したのは言うまでもありません。

その後、幸運にもシングルになることが出来、今もゴルフを楽しんでいますが、あのドライバーショットのボールが喰いついた手応え、弾道が描いた軌跡は、今も忘れることが出来ない記憶です。

良いスコアを出すことは大事です。飛ばすことももちろん大事でしょう。しかし、それにとどまらず、『PROTOCONCEPT』が提案したいのは、その先にある記憶に残るような一打の興奮を生むことです。

思い描いた夢を実現し、本当のゴルフの悦びを実現できるクラブ。ゴルフの素晴らしさをユーザーのみなさんと共有しあえるような、『C01D』はそんな理想に近づけるドライバーになりました。

『PROTOCONCEPT』 ブランドプロデューサー
GO